僕だけがいない街

《走らなくたって 雛月が どこにいるかは 分かってる》 《おそらく 母親から 虐待を受けている雛月は➡ 家に帰りたくなくて➡ いつも 暗くなるまで あの公園にいるんだ》 《俺は ただ 変な女って思ってたっけ》 雛月! (雛月)藤沼…。 何してんの? こんなとこで。 俺のせりふだろ それ。 友達になりたいって言っただろ。 人殺しは できないけど…。 冗談に決まってるべさ。 《うわっ…。 俺の苦手なタイプ》 藤沼ってさ 何か ふりをしてるでしょ? えっ? 笑ってるふり。 優しいふり。 心配しているふり…。 別に 悪いことだって思わないよ。 人のこと 言えないけど 藤沼の顔が見えない。 そのとおりだと思うよ。 俺は 演じてる。 人に好かれたい… 友達が欲しい…➡ 人と接するのが苦手な自分に 何ができるって考えたら…➡ 俺の方が みんなのことを 好きになろうって思ったんだ。 そしたら 演じるのが 少し楽になった。 うん。 私も演じているうちに 本当になる気がするよ。 (愛梨)《口に出して言ってるうちに 本当になる気がする》 《懐かしいと感じた 愛梨の言葉と同じ?》 《みんな 何かを手に入れるために➡ 我慢して 努力して スキルを身に付ける》 《自分を奮い立たせて…》 《雛月も そうなんじゃないか? 今 きっと 耐えてる》 《俺とは 真逆で 無関心を装ってる》 《何も感じない自分を 演じようとしている》 《でも たかが 10歳の女の子が そんなに強いわけない》
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