長唄 越後獅子
西川寛翔
◆越後獅子
「越後獅子」とは、雪深い越後の地から来た大道芸人・角兵衛獅子が、踊りや軽業を披露して金を稼ぐ姿を指します。この物語では、彼は芸を披露しながら旅をする風流な青年として描写されています。「越後獅子」の起源は新潟県新潟市の旧・月潟村にあり、この村の人々が洪水の影響を受け、子供たちに獅子舞をさせて各地を回りながら旅稼ぎを始めたとされています。
◆目次
0:00 イントロ
0:06 越後獅子
打つや太鼓の音も澄み渡り 角兵衛角兵衛と招かれて
居ながら見する石橋の 浮世を渡る風雅者
うたふも舞ふも囃すのも 一人旅寝の草枕
おらが女房をほめるぢゃないが 飯も炊いたり水仕事
麻撚るたびの楽しみを 独り笑みして来りける
越路潟お国名物は様々あれど 田舎訛の片言まじり
しらうさになる言の葉を 雁の便りに届けてほしや
小千谷縮の何処やらが 見え透く国の習ひにや
縁を結べば兄やさん 兄ぢゃないもの夫ぢゃもの
来るか来るかと浜へ出て見ればの
ほいの 浜の松風 音やまさるさ
やっとかけの ほいのまつかとな
好いた水仙 好かれた柳の ほいの 心石竹 気はや紅葉サ
やっとかけの ほいの まつかとな
辛苦甚句もおけさ節
何たら 愚痴だえ
牡丹は持たねど 越後の獅子は
己が姿を花と見て 庭に咲いたり咲かせたり
そこのおけさに異なこと言はれ
ねまりねまらず 待ち明かす
御座れ話しませうぞ こん小松の蔭で
松の葉の様にこん細やかに 弾いて唄ふや獅子の曲
見渡せば見渡せば 西も東も花の顔 いづれ賑ふ 人の山人の山
打ち寄する打ち寄する 女波男波の絶え間なく
逆巻く水の面白や面白や
晒す細布手にくるくると 晒す細布手にくるくると
いざや帰らん 己が住家へ
◆Story
“The Echigo Lion“ refers to a street performer named Kakubei Lion, who came from the snowy lands of Echigo, performing dances and acrobatics to earn money. In this tale, he is portrayed as a refined young man traveling and showcasing his artistry. The origins of the “Echigo Lion“ can be traced back to the former Tsukigata village in Niigata City, Niigata Prefecture. It is believed that people from this village, affected by floods, started having their children perform the lion dance and travel around various places to earn a living.
◆西川寛
日本舞踊5大流派の1つ「西川流」宗家直門師範 扇若会会主
1982年横浜市生まれ 幼少時より父、西川扇三郎 祖母、西川扇豊より指導をうけ、18歳の時西川流の名取を戴く。以降人間国宝である西川扇藏師に指導をうけ、本格的に日本舞踊家の道に進む。 歌舞伎座 国立劇場等多数の舞台に出演する一方、芸者衆をはじめとする弟子の育成に力を入れている。 テレビ等での所作指導も担当。現在、新宿(東京)柏(千葉)守谷(茨城)会津若松(福島)にて指導中。生徒募集È